こんにちは
今回は、僕が全日本剣道選手権史上最高にかっこいいと思っている宮崎正裕先生のメンを紹介しよう。
そのメンとは、1991年の決勝、2本目の出ばなメンだ。

まずは、動画をご覧いただきたい。



2:15のつばぜり合いから見ていただきたい。
つばぜり合いから分かれつつ、相手(栄花秀幸選手)を引き込んで出ばなをメンにとらえた一本だ。
注目すべきは、宮崎選手の読みの的確さ、打突機会を作る能力、驚異的な身体能力だ。
以下で解説しよう。

図1
つばぜり合い

図2
宮崎選手の方から表をとって分かれる。

図3
宮崎選手、自分から下がる。

図4

左足を一気に大きく一歩下げた。
つばぜり合いの別れ際で相手を追ってくる傾向がある栄花選手の動きを読んで、相手を引き込むためにわざと下がって技を仕掛けた。


図5
右足も後ろに一気に素早く引き付ける。
反動で体が浮いているのが分かるだろう。
左足の力を使っての右足の引き付けと、前から後ろへの重心移動が速くスムーズだ。
ここまでの動作で、栄花選手を引き込むことに成功!


図6
重要なポイント。
体をいきなり下に沈める。
それと同時に、相手の竹刀を中心に自分の竹刀を反時計回りに回す。
この動作は、栄花選手の打突タイミングを外し、惑わすためのフェイントと考えられる。

図7

腰を沈めた勢いで、メンに跳び出す体勢を作る。
きっとこの時、栄花選手は、自分が打ち込もうとする間合いまで詰める直前に宮崎選手がいきなり体を沈め、竹刀を反時計回りに回したことで、打突のタイミングを外され、自分の視界から宮崎選手の竹刀が消えたように見えただろう。

図8
宮崎選手、今度は重心を前に移動し、メンに跳び込む。
栄花選手、一瞬の惑いからか、竹刀を開き完全に居付いている!
完璧な打突の機会作り!!
宮崎選手は、試合前からある程度このパターンは想定していたのかもしれない。
栄花選手はこの大会、別れ際では積極的に前に出て打っていく場面が多かった。

図9
宮崎選手、見事にメンをとらえる!!!
ちなみに、この足の形は宮崎選手のメンの特徴といえる。
メン打突時に、右足の膝がすねより前に出て、左足がまっすぐ伸びている。
更に、勢いや速度がある場合は、左足は跳んだ勢いで床から離れている。
このメン打ち時の足の形が、宮崎選手のとんでもない打突スピードにどの程度関わっているかは、まだ私には分からない。
研究するのも面白いかもしれない。

図10
高速で相手に体を引き付ける。
打突後の勢いを出すことで、きめの体勢に入る。

図11
相手の右側に抜け、残身。

図12
十分に距離をとって構える。
白旗三本が上がっている。

図13
構えを解く。
史上初の二連覇達成!!!
驚異的なメンで二連覇を決めた!!

このメンがすごいと感じる点は、以下だ。
・技のアイデア
・技を決める機会作りの完璧さ
・重心移動のスムーズさ
・動作のスピード
・スピードある動作を支えているであろう、下半身・上半身の筋力。
といったところだ。

僕は、未だにこれを超える出ばなメンを見たことがない。
この技は、天才の技だ!

ところで、ここまで解説してきたが、果たしてこの技は参考になるのだろうか?
明日の稽古からまねできるテクニックだろうか?
ほとんどの人が無理だろう(笑)

でも、強い人の技を見て理解を深める姿勢は必要だと思う。